映画『大統領の執事の涙』黒人差別を乗り越え、道を切り開いていく感動の実話に涙

映画

黒人差別の時代を懸命に生き抜く人生に心打たれる名作 オススメ度:8.5/10.0

今回オススメする映画は、個人的な好きな、実話もので感動できるタイトル。『大統領の執事の涙』だ。
少し失礼な言い方だが、個人的には「執事の話しって、、?」と言う気がしていて、
タイトルからはあまり引きを感じていなかった。
同じように感じてる人も1000人に1人くらいはいてくださると助かる笑

ただ、このタイトルだけで判断しての食わず嫌いは良くないと英国王のスピーチで良く学んでいたので、観てみた!結果、観てみて大正解でした(o^^o)
この話し、ユージン・アレンという実在の人物がモデルになっており、映画はバラク・オバマ大統領が当選した際、「ワシントン・ポスト」紙に掲載された記事が基になっているという。

今回は自分が見て、どんな人にオススメか、どんな時に見ると良いかと、
あとは、気になった見所ポイントを3つほど簡単に紹介するので、みてみようか迷っている人はぜひ参考に。
(一部ネタバレを含みます。前情報なしでみたい方はブラウザバックしてください)

どんな人にオススメ? どんな時にみると良い?

派手なシーンなどはないが、
黒人差別の歴史がわかり教養が身につくので、そう言う歴史に興味がある人にはオススメ。
観るのなら一人でじっくりみるのも良し、大切な人や家族と一緒にゆっくり観るのも良いと思う。

黒人差別の時代を懸命に生きる主人公

ストーリーは、主人公が黒人差別が残っている時代の中を、
農夫の奴隷として生きていくところからスタートする。
そこから、紆余曲折を経てホワイトハウス勤務の大統領執事にまでキャリアアップしていく生涯が描かれる。

時代背景は戦後すぐの1950-60年台のアメリカ南部で、この頃は黒人差別がまだ根強く残っており、
黒人で奴隷の身分であった主人公も、その後に登場する主人公の息子もひどい仕打ちを受けてしまうのである。
しばらくしてストーリーが進むと、
主人公の息子が登場し、彼が黒人差別主義へ反対して抗議デモに参加するシーンがあるのだが、
このシーンがまさに恐怖で、KKK(クークラックスクラン)に襲撃され生死を分けるようなリンチを受ける、、!

上記のような顔に変なのをつけた狂人に周りを一斉に取り囲まれ、
リンチにされるのだから、まさに生き地獄である。。。

この辺の有色人種への差別は未だに残っているのだろうか?
黒人差別主義的なKKKと言う秘密組織があると言うくらいの知識しかなく、
人種差別をそこまで経験したことがないのだが、耐えようのない苦しみと怒りを感じるのだろう。

黒人としての誇りと人権VS白人社会で生き抜くための処世術

この映画の1番の見どころは、
黒人としての誇りや人権と、白人社会で順応した生き方との狭間でゆり動く主人公の葛藤だろう。
その葛藤は、主人公とその息子との関係性の中でよく描かれている。
主人公は程なくして息子を授かるのだが、彼は1960年当時に起こった人権運動に参加していく。
ただ、主人公はそれをよく思わない。なぜなら、彼がホワイトハウスという白人社会の中でも権威ある職場で働き、彼自身もまたそのことを誇りに思いながら仕事をする身だからだ。
ある意味、白人社会の中で生き抜いていくために順応していった主人公の生き方からすると、
息子の行動は受け入れがたいものだった。

映画後半では、主人公が必死に生き抜くために身につけてきた白人社会で生き抜くための処世術と
捨てることのできない黒人としての誇りや人権の間で、主人公はゆり動く。
息子の抗議運動への参加は許せずにいた主人公だが、
彼自身もまた心の底では、黒人としての誇りを持った生き方を模索していたのである。

息子との関係性を通して、主人公が本当に大事なものに気づいていき、
そして映画終盤では息子と和解していくのだが、
その関係性が変化していく過程は映画を読み解く上で必見である。

「執事と言う職業は、実は戦士なのである。」

映画の中で、好きになった言葉がこの「執事と言う職業は、実は戦士なのである。」というセリフである!
詳細は映画を見て確認して欲しいのだが、主人公が、執事という仕事を説明するに、
「執事は一見すると従属的な職業に見えるが、実はその規律正しさ・立ち振る舞いでその人物が優秀かつ誠実で信頼に値する人物であることを示すために、能動的に抗議しているのである。」と説明する。

白人は物わかりの良い黒人を望んでいる、と劇中で説明されるシーンがあり、
これは黒人差別を許容する政治や法律などには口出しせず、
白人の思うままに従う黒人が白人社会に受け入れられる、ということだ。
そのセリフだけを切り取ると確かに白人にとって都合の良い黒人が執事として白人社会で順応して働けている、
とも取れるのだが、実はそうではなかったのだ。

何か発言するわけでなく、その仕事への姿勢をもってその人物が優秀で信頼に値することを証明する、
それが執事という仕事であり、そんな執事のことを戦士である主人公は形容したのだ。
これにはめちゃくちゃに痺れさせられた、、!

そんな戦士の仕事ぶりを、ぜひその目で確かめていただきたい笑

終わりに

初めに書いたようにこの映画、バラク・オバマが黒人初の米大統領になった時の記事が元になっており、
劇中でも、バラク・オバマが大統領になった際のことがシーンとして流れるのだが、
これには映画の中で散々に差別され酷い仕打ちのシーンをみてきていたので、感動のあまり涙してしまった、、
主人公たちだけでなく、幾万の人々の無言と有言の抗議で差別に打ち勝ったのだ。

そんな、『大統領の執事の涙』だが、
メインテーマは黒人差別なので、日本人にはあまり馴染みないテーマかもしれないが、
黒人差別の歴史がわかる教養を広げてくれる映画だし、かつ間違いなく感動も与えてくれる名作だ。
週末や土日のゆっくりと過ごせる時に何か見聞を広げたいなぁ、と高尚な気持ちになった時にぜひ一度拝見を笑